100年に一度の大不況でも不足している職種は?

 サブプライムローン問題の影響による世界同時不況で、雇用をとりまく情勢は急激に悪化し、求人倍率も過去最悪に迫る勢いだが、こうした厳しい雇用情勢の下でも、その注目の職種トップ3は、1位「法人向け営業」、2位「経理」、3位「機械設計」となっている。
 それによると、1位の法人営業は、『モノが売れない』時代とはいえ、売上をたてなければ利益はでないため「法人向け営業」が堂々1位となった。特に「顧客を連れてくる」ネットワーク力のある中堅人材は高評価で、求める声が高まっている。業種別では、企業の節約志向を反映し、マス広告に比べ費用対効果を測定しやすいインターネット広告の伸びとともに、その分野の求人が目立った。また、国の助成が後押しし、2009 年5月頃からは太陽光パネル等の環境領域の営業求人も出てきている。
 2位の経理は、社内の異動で欠員を補充することが難しい。欠員枠を部門強化枠として活用し、連結決算や税務など、より上の業務経験者を確保する傾向にある。さらに、この不況期にコスト削減等を狙って財務や経営分析等、戦略的に収益構造を見直す役割が期待され、次長・部長クラスにも引き合いがある。同様の理由で「経営企画/事業企画〔11〕」も、じわりと順位を上げている。
 3位の機械設計では、電力や水処理等のインフラ領域において、継続的な人材ニーズがある。経験者の絶対数が少ない上、重機械やプラント等は工期が長く人材の流動性が低い。さらに海外勤務案件も多いため、機械設計の求人は常にランキング上位に位置している。
 それ以外にも不況に強い上昇トレンドの職種もある。「コンサルタント」(8位)、「医療機器営業」13位、「商品開発 / 開発」(14位)がその代表格だ。
 17位から8位にランクアップした「コンサルタント」。事業会社の組織・事業再編や財務の建て直しや、銀行からの資金調達に係る事業計画作成ニーズから、戦略・会計コンサルタントの求人が浮き上がった。また、金融法や国際会計基準へのシステム対応や、通販等 EC 取引の増加による決済関連のシステム開発ニーズを背景に、金融機関向けの「システムコンサルタント」も堅調となっている。
 28位から13位に上がった「医療機器営業」も需要がある。全体の求人数が落ち込む中、医薬・医療系職種は比較的落ち込みが少なく、製品の種類が多く、製品開発サイクルが早い医療機器分野では、経験者を中心に「医療機器営業」を採用する動きが目立っている。また、新薬の上市に伴う「MR」(24位)の求人も相変わらず活発だ。
 32位から14位となった「商品開発 / 開発」は、不況による“巣ごもり” 需要を追い風に、インターネットサービスで通販をはじめとする課金サービスの開発ポジションで人材ニーズが発生している。また、化粧品や食品でも、通販用商品や OEM による顧客商品の商品開発にニーズがある。
 100年に一度の大不況という厳しい雇用環境だが、コスト削減によるリストラと同時に、即戦力の営業人材とコスト削減のために必要な人材が求められている状況となっている。

 好況 不況に関係なく 堅実たるは 事業者の 堅実たる営み だ と反省している