CAP定理

 CAP定理はデータ共有システムにおいて、三つの特性、Consistency, Availability, (Tolerance to network) Partitionは高々2つしか成り立たないというものです。
 クラウドコンピューティングをターゲットにした概念ではなく、データ共有システム全体において3つ同時に満足するのは難しいということ。
 定理という名前がついていますが、別に定理などと大それたものではないということ。
 あくまでも経験則であって、絶対に3つが同時に成立しないといっているわけではない。PODCと呼ぶ分散アルゴリズムの国際会議(PODCは分散アルゴリズムではかつては有名な国際会議)の招待講演とそのスライドで提唱された概念であって、提唱者本人もCAP定理そのものを論理的に説明しているわけではありません。そのうえSeth GilbertとNancy Lynchの論文を引用して、CAP定理が証明されている主張する人がいるのですが、論文というほどきっちり書かれているわけではないです。それにLynch女史の書籍を前提に書かれた論文ですが、Lynch大先生の独特の形式系を理解できるコンピュータサイエンス研究者は多くはない。
 CAP定理をあげて三つの性質を同時に満足できるシステムは作れないと決めてかかっている方々や記事をよく見かけます。しかし、CAP定理はあくまでも経験則。たぶん正しそうだけど、CAP定理が打ち破る方法がないとはいいきれません。だから3つの性質を同時に満足できないと決めつけずに、抜け道をさがしてほしいです。例えばクラウドコンピューティングでもSalesforce.comあたりは3つの性質にうまく折り合いを付けてやっているわけです。

 コンピュータには 定理 という 経験則が 多い. 工学 なのだ. 数学の定理 との差  ”である と らしい” の距離がある